名言のお話 -小池一夫氏

『愛情でも、友情でも、親子でも、恋人でも、友人でも、関係はうつろっていく。
最後に人と人を繋ぎとめるものは、「敬意」である。「情」ではない。』

――小池一夫

世界の偉人や著名人たちの名言、格言の中には、経営者の自分にとって重要な「気づき」を得られるものが多くあり、折に触れて彼らの言葉を読み返し、生きていく上でのヒントをもらっています。

今回ご紹介するのは、漫画・劇画原作者の小池一夫さんの言葉です。

小池さんは1936年に秋田県で生まれ、漫画「子連れ狼」の原作者として広く知られています。

原作者としてだけでなく、「小池一夫劇画村塾」を開講し、「うる星やつら」などで知られる高橋留美子さん、「北斗の拳」の原哲夫さんなど、錚々たる顔ぶれの漫画家、漫画原作者たちを世に送り出しました。

晩年に小池一夫さんの名前をさらに知らしめることになったのは、2010年から亡くなる直前の2019年まで更新し続けたTwitterでしょう。

Twitterアカウント開設時、小池さんは73歳でした。SNSを始める年齢としてはおそらくかなりの高齢であり、Twitterのボリュームゾーンではない年齢にもかかわらず、小池さんの言葉はユーザーから大きな反響を呼び、亡くなって3年以上が経過した今もなおフォロワー数は81万を超えています。

冒頭の言葉は、小池さんが2015年、76歳の時にツイートした言葉です。

人間関係において最も重要なのは、関係継続のための忍耐力やお情けなどではなく、ただ純粋に相手を尊敬し思いやること、すなわち「敬意」であると教えてくれます。

小池さんの言う敬意とは、相手に媚びへつらうような卑屈な態度ではないことは明白です。

どんな人にも平等に接する。性別、国籍、年齢などに関係なく、相手を理解しようと努め、共に歩んでいこうという精神。企業であれば、相手が上司部下や仕事の出来不出来などに関わらず、常に冷静に平等に、相手を慮って行動する。それこそが敬意の本質であると、私は考えています。

また、小池さんはTwitterで次のような言葉も遺しています。何かというとすぐに「炎上」する現代において、ひとりひとりが肝に銘じておくべき金言だと思っています。

『ネットを見ていて、凄く気になるのは「人を見下す」事が蔓延している事である。人に対する好き嫌いや、事の善悪の判断や、意見の応酬はあってしかるべきだが、もう、とにかく「人を見下す」が基本スタンスになっている。しかし、人を見下している人って、大抵自分自信の背中は無防備だ。』

金澤幸雄