名言のお話 -佐藤一斎名言のお話 –

『少而学 則壮而為有
壮而学 則老而不衰
老而学 則死而不朽
少にして学べば 則ち壮にして為すことあり
壮にして学べば 則ち老いて衰えず
老にして学べば 則ち死して朽ちず』

――佐藤一斎

タイタンの金澤幸雄です。

世界の偉人や著名人たちの名言、格言の中には、経営者の自分にとって重要な「気づき」を得られるものが多くあり、折に触れて彼らの言葉を読み返し、生きていく上でのヒントをもらっています。

今回ご紹介するのは、江戸幕府の末期(幕末)の儒学者、の佐藤一斎の言葉です。
吉田松陰や勝海舟にも多大な影響を与えた一斎の著書「言志四録」は、一斎が42歳から82歳にわたってまとめ上げたものです。
この言志四録は明治維新で活躍した人物に大きな影響を与え、とくに西郷隆盛が生涯にわたって愛読書とし「大西郷(だいさいごう)」と呼ばれる礎を築いたことでも知られています。

冒頭の「少にして学べば・・・」の一節は、教育者、経営者など、人を教える人、人の上に立つ組織のリーダー的な立場の人から特に大きな支持を得ていますが、この言葉が一躍有名になったのは、なんと言っても小泉純一郎元総理大臣が法案審議中に引用したことからでしょう。

原文は漢文調で、やや難解ですので、ここに訳を記しておきます。

『少年のときに学問に励めば、壮年になったときに何事かを成し遂げることができる。
壮年のときにも学問に励めば、老年になっても頭や気力が衰えることがなくなる。
老年になっても学問に励めば、さらに見識が高くなり、死んでもその名が朽ちることはない。』

経営者にはもちろんのこと、すべての働く人たちにとって、仕事とは学びのひとつです。

この言葉のとおり謙虚にひたむきに仕事に取り組み続ける限り、人はいつまでも成長し続けることができるのです。

私も年齢を重ねるにつれ、今まで成し遂げてきた仕事などを振り返る機会も増えました。自分のモチベーションやスキルが、若い頃とは確実に変化してきているのも感じます。
ひとりの経営者として長く生きてきた私にとって、一斎のこの言葉はこれからの人生に大きな勇気を与えてくれます。

キャリアや地位などにかかわらず、いくつになってもこつこつと学ぶ姿は信頼獲得にもつながりますし、そんな私の背中を見た部下や後輩たちが「自分もこうありたい」と思ってくれたなら、こんなに嬉しいことはありません。
生涯をかけて己を高めることで、仲間、ひいては世の中の役に立ち続けていく。

これが、私が学びを続けていきたい最大の理由であり、目的なのです。

金澤幸雄