音楽のお話 -第96回アカデミー賞

タイタンキャピタルの金澤幸雄です。

2月に行われた第96回アカデミー賞授賞式で、私の大好きな歌手アンドレア・ボチェッリが、彼の次男であるマッテオ・ボチェッリと共に大ヒット曲「Time To Say Goodbye」を披露し、大きな話題となりました。私も歌唱の模様を見ましたが、大ファンの私でも初めて聞くアレンジでした。気になって調べてみると、アカデミー賞授賞式で披露されたバージョンはこの日のための特別なアレンジだったそうで、「パイレーツ・オブ・カリビアン」や「ライオン・キング」、「バックドラフト」など、誰もが一度は聞いたことがある映画音楽を手掛けたハンス・ジマーによるものでした。壮大さを感じる旋律の迫力や奥行きがよりドラマティックに表現され、私のようなクラシック音楽のファンをも唸らせるすばらしいアレンジに「この曲にはこういう解釈もあったのか」と、何度も聞いた曲ではありますが新たな感銘を受けました。

以前、世界的な音楽プロデューサーである友人のデイヴィッド・フォスターから、アンドレアがホストを務めるパーティーに誘われて出席したことがあります。それはアンドレアが創設した慈善団体「アンドレア・ボチェッリ財団」のチャリティ・クルージングでした。この財団は主に音楽を学ぶ学生のための基金ですが、病気や貧困などの困難に陥っている国や地域の人々を支援するための活動や、コロナ禍には医療従事者への支援のため医療機器などの購入を支援する募金活動を行うなど、多岐に渡るボランティアを続けています。その船上でデイヴィッドからアンドレアを紹介され、以前からアンドレアと同じような志を持って活動していた私も支援の輪に加わることになり、とても有意義で興味深い時間を過ごしました

私から見たアンドレアの印象は、あれだけの成功を収めていながらそれを少しも鼻にかけることなくとても謙虚に人と接する姿が真っ先に思い浮かびます。そういう意味では、音楽プロデューサーとして世界的に知られているデイヴィッドと少し似ているかもしれません。2人とも、生み出す楽曲への愛、周囲の人々のみならず世界中の人々への慈愛の心が深く、自分の利益より他人の幸せを願う利他的な姿が楽曲に説得力をもたらしているのでしょう

そんなアンドレアが、歌手活動30周年の記念イヤーである2024年に、アメリカのアカデミー賞授賞式という晴れやかな舞台に立っていることが、彼のいちファンであり友人としてとても誇らしく思いました。

金澤幸雄

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