
金澤幸雄です。
世界最難関のピアノコンクールとして広く知られ、若手ピアニストにとって一流ピアニストへの登竜門でもあるフレデリック・ショパン国際ピアノコンクール(日本では俗にショパコンとも呼ばれています)で、日本人のピアニストである反田恭平さんが2位に、小林愛実さんが4位入賞を果たしました。日本人の2位以上の入賞は1970年に内田光子さんが2位に入賞した以来の快挙。実に半世紀以上ぶりのうれしいニュースに、クラシック好き、ピアノ好きの私も胸が躍りました。
このコンクールは、10月17日がショパンの命日ということにちなんで、開催年の10月17日の前後3週間にわたり、ポーランドの首都ワルシャワで5年に1度開催されます。本来は2020年に開催されるはずでしたが、新型コロナウイルス感染拡大の影響で1年延期され、今年の 開催となりました。
また、ベルギーの「エリザベート王妃国際音楽コンクール(4年に1回)」や、ロシアの「チャイコフスキー国際コンクール(4年に1回)」と並ぶ、世界3大コンクールの1つとされています。
このコンクールの最大の特徴は、なんと言ってもショパンのピアノ曲だけがピアニストによって演奏される、ピア二ストのためのコンクールであるということです。他のコンクールと違い、バイオリンなどの他部門はありません。
余談ですが、「ピアノの詩人」と称されるショパンはピアノ曲しか遺していないと思われがちですが、友人のチェリストのために作ったチェロ・ソナタや歌曲なども、ごくわずかではありますが作曲しています。
ファイナルは10月18日から3日間行われ、世界各国のピアニスト12人がしのぎを削りました。演奏する曲はワルシャワ国立フィルハーモニー管弦楽団との共演で、ピアノ協奏曲の第1番ホ短調または第2番ヘ短調(いずれももちろんショパンの曲です)のどちらかとなっており、反田さんも小林さんも第1番を演奏しました。
ポーランド国立ショパン音楽大学という、いわば「ショパコンの本拠地」のような学校に在籍している反田さんは、音に厚みを持たせるため身体を大きくし、髪型も「サムライ」のように工夫するなど、生活のほとんどすべてをこのコンクールに費やしてきたといいます。ファイナルでのオーケストラとの一体感もすばらしく、個人的には優勝でもまったくおかしくない圧巻の演奏だったと思います。小林さんは、反田さんとは同じピアノ教室で学び、桐朋学園女子高音楽科に進んだ幼馴染とのこと。今後も切磋琢磨して、またすばらしい演奏を聴かせてくれることでしょう。
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