
「成功は最低の教師だ。優秀な人間をたぶらかして、失敗などありえないと思い込ませてしまう。」
――ビル・ゲイツ
世界の偉人や著名人たちの名言、格言の中には、経営者の自分にとって重要な「気づき」を得られるものが多くあり、折に触れて彼らの言葉を読み返し、生きていく上でのヒントをもらっています。
今回ご紹介するのは、一般向けOSのシェアのほとんどを占めるWindowsシリーズなどを開発・販売しているソフトウェアメーカー、Microsoftの共同設立者であり、慈善活動家、技術者、プログラマとしても活躍するビル・ゲイツの言葉です。
「勝って兜の緒を締めよ」という慣用句は、皆さんもよくご存じだと思います。
上手くいってもそれで気を緩めたり慢心したりすることなく、常に緊張感をもち、身を引き締めて事に当たれという意味ですが、ビル・ゲイツは成功することを「最低の教師」や「たぶらかし」とまで言って忌み嫌っていることは非常に興味深いです。
人というのは得てして、失敗や何らかの悪い事があれば、その状況を検証し、次からはミスをしないように努めたり、どうにかして事態を打開すべく行動したりするものです。
しかし、成功したり、いい事が続いたりしているときはどうでしょうか。
「いいことがいつまでも続くとは限らない」「次は失敗するかもしれない」と思うことはあっても、うまくいった事実を「最低の教師」だと律し、その後も成功した時以上に細心の注意をもって常に行動できる人はかなり少ないのではないでしょうか。
ご存じのとおり、IT業界では開発する際にトライアンドエラー(trial and error:開発していく上で起こるあらゆる出来事で、失敗をその都度修正するなどして試行錯誤し、結果的に成功に導くこと)を繰り返し、ざっくり言うと、膨大な数の「開発→不具合→修正」を地道に積み上げながら、日夜開発が進められています。
今や知らない人はいないと言っても過言ではないWindowsシリーズを開発したビル・ゲイツ自身も、そこに至るまでには数知れないほどの苦難と失敗の繰り返しを経て、現在の地位を築いたことは想像に難くありません。
確かに、いつまでも成功を喜び、自分の優秀さに酔っていても、前には進みません。
成功をひとつの「過去の事実」としてとらえ、それに思い上がることなく淡々と次のことに取り組める人こそが、真の成功を掴むのではないでしょうか。
世界最高レベルの地位、名誉、富、頭脳を持つビル・ゲイツであっても、かつての成功が永遠に続く保証はないのです。いわんや私たちをや、どんな業界においても成功者であり続けるためには、努力をやめてはならないのだと痛感しました。
金澤幸雄
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