ビルゲイツと水事業

タイタンの金澤幸雄です。

以前、世界的音楽プロデューサーであり私の大切な友人のディヴィッド・フォスターが主催するパーティーで、ディヴィッドからビル・ゲイツを紹介されました

彼は言わずと知れた米マイクロソフトの創業者ですが、世界最大規模の慈善団体「ビル・アンド・メリンダ・ゲイツ財団」の創始者でもあります。彼が2000年に当時の妻メリンダ・ゲイツと共同で立ち上げたこの財団は、途上国の感染症などの病や貧困への支援をはじめとする様々な社会支援活動を行っています

マラリアやポリオなどの病気は、現代の先進国では治療や予防が可能な病気として感染者が激減しています。しかしなぜ、途上国ではいまだにこれらの病気で亡くなる人(主に免疫力の低い子供たちです)がいるのでしょうか。その最大の理由が、適切な衛生環境を維持するための安全な水を手に入れることが困難である、ということです。不衛生な水が原因で下痢や肺炎にかかり、「あの水さえ飲まなければ」と思っても、そこには不衛生な水しかないのですから、水分を摂ろうとすれば不衛生な水を飲む以外の選択肢がなく、飲んでも飲まなくても深刻なリスクがあるという厳しい状況なのです。

以前私は、このような途上国の状況をテレビ番組で見て非常にショックを受けました。それがきっかけで「途上国の人々にきれいな水を届けたい」という思いが生まれ、支援を続けていく中で、空水機という機械を知りました。これは空気中の水分を集めて殺菌し飲み水をつくる機械のことで、この空水機の事業を始めてもう8年ほどになりますが、NPO法人のアジア医師連絡協議会(AMDA)との連携をスタートさせるなど、活動は確実に実を結びつつあります

私は途上国における不衛生な水問題に、空気中から水を作る方法で飲み水の水質を改善する、という方向から着手しました。一方、ビル・ゲイツは、トイレ不足、あるいは不衛生なトイレによる感染症の拡がりを問題視し、トイレから途上国、ひいては世界中が抱える様々な問題を解決しようと挑戦を続けています。

ビル・ゲイツは汚水処理装置の開発などに資金を投じ、排泄物を飲料水に変える装置を開発しました。そして日本の住宅設備メーカーLIXILとパートナーシップを締結するなど、トイレ環境を改善しながら途上国の衛生、ひいては人々の衛生意識を改善しています。ビル・ゲイツと私は、途上国の衛生問題に異なる角度からアプローチしましたが、見ている景色、目指す未来は同じだと確信しています。あの日、ディヴィッドのパーティーで出会い、対話をし、深く共鳴しあえたような気がしてこれからも私たちの取り組みが世界に展開され、拡がりを見せていくことを期待しています。

金澤幸雄

Photo by Taylor Vick on Unsplash